シャワー後の排水溝で、現実を知った
30代に入って少し経った頃だった。
いつものようにシャワーを浴びて、ふと排水溝を見た。そこに溜まっている髪の量が、明らかに以前と違う。「いや、今日たまたま多いだけだろ」と思った。でも翌日も、その翌日も、同じだった。
洗面台の鏡で前髪を上げてみる。おでこ、広くなってないか。スマホで頭頂部を撮ってみる。……うわ、地肌見えてる。
正直、ショックだった。
「まだ30代なのに」という気持ちと、「いや、30代って普通に来るらしいな」という冷静な声が同時に頭の中を流れた。清潔感に関しては人並み以上に気をつけているつもりだった。スキンケアもやってる、服装にも気を使ってる。でも髪のボリュームが減っていくのは、努力じゃどうにもならない領域だった。
これは「気合い」の問題じゃない。「医療」の問題だ。
そう腹を括るまでに、実はけっこう時間がかかった。
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「まだ大丈夫」と思いたかった3ヶ月間
排水溝の異変に気づいてから、実際にクリニックを予約するまで約3ヶ月かかっている。
この3ヶ月間、頭の中はずっと同じループだった。
「まだ大丈夫じゃないか?」
鏡を見て、髪をセットして、「うん、今日はそんなに気にならない」と自分を説得する。写真を撮って、角度を変えて、「光の加減だな」と思い込む。この「まだ大丈夫バイアス」は本当に強力だった。
それに加えて、心理的なハードルがいくつもあった。
恥ずかしさ。 AGA治療に行くこと自体が「自分はハゲてきている」と認めることになる。誰にも言えない。友達に「最近AGA行ってるんだよね」なんて言えるわけがない。
費用の不安。 AGA治療って月に数万円かかるイメージがあった。「高い化粧水を買うのとは訳が違う」と思っていた。
「本当に効くのか」という疑い。 ネットで調べると情報が多すぎて、何が正しいのかわからない。ステマっぽい記事も多い。結局、効くのか効かないのかはっきりしない。
でもある日、会社のトイレの鏡で自分の頭頂部が蛍光灯に照らされているのを見て、「あ、これもう”まだ大丈夫”じゃないな」と思った。
その日の夜、スマホでオンラインクリニックの予約を取った。
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クリニック選び ── オンライン診療にした理由
AGA治療のクリニックは大きく分けて2種類ある。
- 通院型(実店舗に通う)
- オンライン診療型(ビデオ通話で診察、薬は郵送)
- Webで予約(所要時間: 3分)
- 問診票をオンラインで記入(持病、服用中の薬、家族の薄毛歴など)
- ビデオ通話で医師と面談(約15分。頭部の写真を求められた)
- 治療プランの提案(フィナステリド+ミノキシジルの内服を提案された)
- 薬が自宅に届く(予約から4日後)
- 抜け毛: 治療前と比べて体感で7割減
- 生え際: 産毛が太くなり、地肌が見えにくくなった
- 頭頂部: 明らかにボリュームアップ。ドライヤー後のセットが楽になった
- 髪質: 1本1本にコシが出た感覚
- 性欲減退
- 勃起機能の低下
- 肝機能障害
- 体毛の増加(多毛症)
- むくみ
- 動悸
- 血圧低下
- 恥ずかしさ → オンラインなら誰にも会わない。拍子抜けするほどあっさり始められた
- 費用の不安 → 月5,000円。飲み会1回分と引き換えに清潔感を維持できる
- 「効くのか」という疑い → 少なくとも俺の場合、3ヶ月で抜け毛減少、5ヶ月で産毛確認、8ヶ月でボリューム改善を実感できた
俺は迷わずオンライン診療を選んだ。理由は3つ。
理由1: 誰にも会わなくていい。
受付で名前を呼ばれたり、待合室で他の患者と顔を合わせたりしなくていい。「AGA治療に行っている自分」を誰にも見られたくなかった。これが一番大きい。
理由2: 費用が圧倒的に安い。
通院型のクリニックは初診料、血液検査、カウンセリング、薬代を合わせると月に10,000〜20,000円くらいかかるところが多い。一方、オンライン診療は薬代のみで月額5,000円前後のところがある。この差は大きい。
理由3: 時間がかからない。
初診はビデオ通話で15分くらい。2回目以降は3ヶ月に1回、5分程度のオンライン問診だけ。通院の時間も交通費もゼロ。
初診の流れ
実際の初診はこんな感じだった。
率直な感想として、「え、これだけ?」と思った。もっと大がかりなものを想像していた。拍子抜けするくらい簡単だった。
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治療内容の詳細
処方された内容を整理する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 処方薬 | フィナステリド 1mg(内服)+ ミノキシジル 5mg(内服) |
| 服用方法 | 毎日1回、就寝前に各1錠 |
| 月額費用 | 約5,000円(薬代のみ、送料込み) |
| 通院頻度 | 3ヶ月に1回のオンライン問診(約5分) |
| 初期費用 | 0円(初診料・カウンセリング無料のクリニックを選んだ) |
フィナステリドはAGAの原因となる男性ホルモン(DHT)の生成を抑える薬。いわば「これ以上抜けるのを止める」役割。
ミノキシジルは血流を改善して毛根に栄養を届けやすくする薬。いわば「生やす力を後押しする」役割。
この2つの組み合わせが、AGA治療のスタンダードらしい。医師からもこの組み合わせを推奨された。
※ここに書いているのはあくまで個人の体験であり、薬の効果・副作用には個人差があります。治療を検討している方は必ず医師に相談してください。
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月別の経過記録 ── ラボノート
ここからが本題。8ヶ月間の経過を、なるべく客観的に記録していく。
1ヶ月目: 変化なし
所感: 「本当にこれ効いてるのか?」
毎晩2錠の錠剤を飲む。それだけ。特に体調の変化もなければ、髪の変化もない。鏡を見ても何も変わっていない。
正直、「月5,000円をドブに捨ててるんじゃないか」と不安になった。ネットで「AGA治療 効果 いつから」と検索しまくる日々。多くの情報が「最低3ヶ月は見てほしい」と書いていた。
この時期に一番大事なのは、やめないこと。これは後から振り返っても間違いない。
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2ヶ月目: 初期脱毛が来た
所感: 「え、逆に増えてない? 抜け毛」
2ヶ月目に入った頃、明らかに抜け毛が増えた。シャワー後の排水溝、枕に落ちている髪、デスクワーク中に肩に落ちる髪。体感で治療前の1.5倍くらい抜けている気がした。
焦った。かなり焦った。
「薬が合ってないんじゃないか」「逆効果なんじゃないか」と不安で調べまくった結果、これが初期脱毛と呼ばれる現象だとわかった。
初期脱毛は、古い弱った毛が新しい毛に押し出されて抜ける現象で、薬が効いている証拠とも言われている。頭ではわかっていても、実際に抜け毛が増えるのは精神的にキツい。
ここで怖くなってやめてしまう人もいるらしい。気持ちはわかる。でも俺は「ここで引いたら3ヶ月分の投資がゼロになる」と思って続けた。
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3ヶ月目: 抜け毛が減った
所感: 「あれ、排水溝の髪……少なくない?」
3ヶ月目に入って、明確な変化があった。抜け毛が目に見えて減った。
排水溝に溜まる髪の量が、治療前の半分以下になった感覚。枕につく髪も激減。これは気のせいじゃない。
まだ見た目の変化は感じられなかったけど、「止まってきている」という実感は確実にあった。
この頃から精神的にかなり楽になった。「効いてるんだ」と思えるだけで、毎日の2錠を飲むモチベーションが全然違う。
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5ヶ月目: 産毛を発見
所感: 「これ……生えてきてる?」
5ヶ月目。鏡の前で前髪を上げて生え際をチェックしていたとき、以前はなかった細い産毛を見つけた。おでこの端のあたり、うぶ毛みたいな短い毛がちょろちょろと生えている。
スマホのカメラで接写して、治療前の写真と見比べた。確かに、この位置にこんな毛はなかった。
劇的な変化ではない。人に言っても「え、どこ?」って言われるレベル。でも自分にはわかる。確実に何かが変わり始めている。
この産毛が太い毛に成長してくれるかはまだわからない。でも「方向性は合っている」と確信できた瞬間だった。
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8ヶ月目: ボリュームが変わった
所感: 「おお、これはもう気のせいじゃない」
8ヶ月目。美容室で「最近、髪にハリが出てきましたね」と言われた。自分でも感じていたけど、第三者に言われると確信に変わる。
具体的な変化をまとめるとこうなる。
写真で見比べると違いは明らか。もちろん「フサフサに戻った」とか「20代の頃と同じ」とまでは言わない。でも「清潔感のある髪型を維持できる状態」にはなった。これが俺にとっては十分すぎる成果だった。
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費用の総まとめ
8ヶ月間でかかった費用を整理する。
| 期間 | 月額(税込) | 累計 |
|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 約5,000円 | 約5,000円 |
| 2ヶ月目 | 約5,000円 | 約10,000円 |
| 3ヶ月目 | 約5,000円 | 約15,000円 |
| 4ヶ月目 | 約5,000円 | 約20,000円 |
| 5ヶ月目 | 約5,000円 | 約25,000円 |
| 6ヶ月目 | 約5,000円 | 約30,000円 |
| 7ヶ月目 | 約5,000円 | 約35,000円 |
| 8ヶ月目 | 約5,000円 | 約40,000円 |
8ヶ月の総額: 約40,000円
月5,000円。飲み会1回分。コンビニコーヒー1日1杯分。
正直、AGA治療を始める前は「月に数万円かかる」と思っていた。実際にオンライン診療で始めてみたら、想像よりずっと安かった。
もちろん、AGA治療は続けることが前提。薬をやめれば元に戻ると言われている。だから「一時的な出費」ではなく「月5,000円のサブスク」として家計に組み込んでいる。スキンケアの延長線上にある固定費、という感覚が一番近い。
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副作用について ── 正直に書く
AGA治療の薬には副作用のリスクがある。これは避けて通れない話なので、正直に書いておく。
フィナステリドの主な副作用(添付文書より)
ミノキシジル(内服)の主な副作用(添付文書より)
俺の場合
8ヶ月服用して、体感できる副作用は特になかった。性欲の変化も感じないし、体調の悪化もない。
ただし、これはあくまで俺個人のケース。副作用が出る人は一定数いる。特にフィナステリドの性機能への影響は気にする人が多いと思う。
大事なのは、自己判断で薬を入手・服用しないこと。必ず医師の診察を受けて、定期的に経過を報告すること。オンライン診療でも問診でこのあたりは確認される。少しでも異変を感じたら、すぐに医師に相談してほしい。
※副作用の出方は個人差が大きいため、ここに書いた内容はあくまで個人の体験です。
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まとめ: 「もっと早く始めればよかった」が、正直な結論
8ヶ月間の経過を振り返って思うのは、結局これに尽きる。
「もっと早く始めればよかった」
薄毛に気づいてから3ヶ月間、「まだ大丈夫」と思っていた時間がもったいなかった。AGAは進行性で、早く手を打つほど効果が出やすいと言われている。俺がもし半年、1年先延ばしにしていたら、同じ結果が得られたかどうかはわからない。
始める前に感じていたハードルを振り返ると、
全部、始める前の想像よりずっとハードルが低かった。
もちろん、治療の効果には個人差がある。俺と同じ結果が誰にでも出るとは言えない。でも「気になっているなら、まず医師に相談してみる」という最初の一歩のハードルは、思っているより全然低い。
清潔感を維持するために、肌にも服にも投資してきた。でも髪が一番見た目の印象を左右すると思う。ここに投資しない理由がなかった。
この記事が、あの頃の俺みたいに排水溝を見て不安になっている誰かの背中を押せたら嬉しい。
実験は続く。また経過を報告する。
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※この記事は個人の体験に基づいたものであり、特定の治療法や医薬品を推奨するものではありません。AGA治療を検討される方は、必ず医療機関にご相談ください。